サービスを提供する側が摘発されるケースはしばしばあったのですが、2016年に利用者が逮捕される事例が発生し、日本人プレイヤーの間で衝撃が走りました。
日ごろからネットカジノを楽しんでいるかたや、興味がある場合には見逃せない事例かもしれません。
しかし、逮捕されてしまったものの、司法判断は不起訴か、少額の罰金処分とされています。
安全にプレイするためにも、この事例を参考に注意点を把握することが大切でしょう。
実際に利用者側逮捕された事例は極めて稀で、ほとんどの人が何のトラブルもなくプレイを楽しんでいるのが現状です。
注意点を守ればリスク回避に役立つので、何をすれば違法判断になるのか見ておきましょう。
現在、日本での利用者側の逮捕事例は1件だけが見当たります。
それが、2016年に起きたスマートカジノでの事件です。
このサービスは現在は消滅していますが、当時はライブ配信タイプのゲームを提供していました。
悪かったのは、日本人客向けに特化したサービスだった点と言われます。
日本人ディーラーが日本語でゲームを進行し、時間帯も日本人がプレイしやすい夕方から深夜でした。
日本はご存じのように賭博は法律で禁止されています。
そこで、海外のオンラインサービスを介していたとしても、日本人同士が賭博を行えるように環境を整え、そこで実際に賭け事が行われていたとしたら、違法性が考えられるのではないでしょうか。
スマートカジノでの事件で逮捕された3人は、いずれも略式起訴の対象となりました。
略式起訴は道路交通法違反などの軽微な罪で利用される、簡単に法的処理を済ませるための制度です。
この制度では法廷で言い争うこともないので、時間も費用もかからないのです。
略式起訴されると、基本的に被告に対して少額の罰金か過料の支払い命令が出て、事件は終わりになります。
警察もそうですが、被告側も裁判となると失うものが多いため、このような手段を選ぶケースも珍しくはありません。この事件でも3人中2人は、略式起訴を選んで罰金を支払ったとされます。
しかし、残りの一人は本格的な裁判で、徹底的に争う方向を選びました。
その結果が、不起訴処分です。これは無罪判決ではないものの、有罪にするのは難しいと判断された結果とされます。
略式起訴されて罰金を支払った二人も、法廷で争っていれば同様の結論になった可能性が高いでしょう。
日本に住んでいる人が賭博をしていたので、有罪でもおかしくないとの見方もあるでしょう。
この点、実際には賭博開帳罪と賭博罪の関係が、争点になったようです。賭博では運営サイドの方が違法性を処罰することが主眼で、そこで遊んでいるプレイヤーの罪は軽いとされます。要するに賭博開帳罪がメインで、遊んでいるだけのプレイヤーが問われる賭博罪は、いわばサブ的な立場にあるのです。
この事件では運営元になっているスマートカジノは海外のサービスなので、警察は摘発できませんでした。
それにも関わらずにプレイヤーだけを逮捕するのは如何なものか、という指摘がなされたようです。
結果的に運営元を検挙できないのにプレイヤーを処罰するのは法的趣旨にそぐわず、起訴は相当ではないと判断されたと考えられています。
明確にネットカジノで遊ぶことを禁止する法律がないのに、逮捕に至ったのは警察の勇み足だったとの指摘もあります。
結果的にも不起訴処分ですので、今後も同様の事例で裁判になっても、有罪になる可能性は低いでしょう。
このような事情もあって、当該事件以降は利用者側に逮捕事例はありません。
2016年の当該事件以降、数年間は何の音沙汰もない状態が続いています。
そもそも、この事件は違反者を処罰するのが主目的ではなく、警察による見せしめのためだったという見方もありました。
無制限にネットで賭博が行われる状況に、歯止めをかける狙いがあったようです。
スマートカジノの事件では不起訴処分になり、以後は利用者の検挙もなくなりましたが、それでもネットカジノが合法と認められたわけではありません。
ネットカジノを楽しむ場合は自己責任となりますので、まずは最低限、以下の点に気を付けましょう。
・極端な日本向けサービスは避ける
・オンラインでネットカジノを遊んだと公言しない(個人が特定されやすいため)
・ビットカジノやベラジョンカジノなど、安全性が評価されているカジノを検討する
日本は現在、IRなども注目を集めており、ギャンブルに関する流れが変わりつつあります。
このこともあり、ネットカジノについても、いつまでも規制なしで遊べるかどうかは不透明です。
法的に認められたギャンブルを優先するために、グレーゾーン賭博には何らかの規制を行うかもしれません。
対策としては、ネットカジノをプレイする時には、定期的に情報をチェックすることが大切です。
法改正などの動きも把握できるほか、より安全なサービスや楽しみ方を発見できる可能性もあります。
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